創業百六十周年記念 酒蔵講演会1
開催日 平成20年5月10日(土)午後4時より
演 題 酒と肴 昔と今
講 師 小泉武夫先生

しばらく五月晴れの上天気が続いておりましたが、当日はしっかり雨が降りました。少し肌寒い、季節が逆戻りしたような日でしたが、酒が旨い(気温の)日でもありました。大変熱のこもった先生のお話と、酒と肴でたぶん、お越しくださった方はご満足いただけたのではないかと思っております。足元のお悪い中、お運びいただき大変ありがとうございました。
また、たくさんのかたがたにご協力いただきました。今回の企画は、とてもわが社だけではできません。美味しい肴の情報提供から始まって、特別にこぶ締めを作っていただいたり、盛岡の郷土料理を特製していただいたり、自家製干物を製作していただいたり、地元知多の料理を作っていただいたり、ほんとうにありがとうございました。




当日のお酒
大吟醸白老 兵庫県 特Aの山田錦を40%まで精米して、低温のもとに長期(40日)に渡って醗酵さ せたお酒です。本日お出しするものは昨年製造された一年熟成のお酒です。
本年4月に行われた(独)酒類総合研究所主催の全国新酒鑑表会で“金 賞”をいただきました。現在火入れ処理後密閉してあり、残念ながら今日お だしできませんでしたが、味がのり次第、6月頃に出荷の予定です。
蔵人だけしか飲めぬ酒<生原酒> 無濾過で搾ったままを瓶詰めにしたお酒です。アルコール度数は18度とかなりたかい、手造り蔵ならではの濃醇なうまみのあるお酒です。
純米吟醸生酒<生原 酒・季節限定酒>
半田の熱心な農家にお願いした契約栽培酒造好適米を用いて、寒造りしま した。あまり香りをたてずに、食中酒としてお楽しみいただけるポピュラ ーな純米吟醸酒です。
百二拾二号生酒<生原酒>
仕込みタンク№122号をそのまま酒名にした、うまみとともにキレを追っ た純米酒です。本来は秋に出荷しますが、これはその生ヴァージョンで す。<季節限定酒>
白老原酒<原酒> 生の原酒「初しぼり」を瓶燗火入れしたお酒です。新酒のときのフレッシ ュさは薄れ、まろやかな熟成されたうまみが出てきました。時間とともに 変わる日本酒の変化もお楽しみ下さい。自社の田でとれた酒造好適米「若 水」を用いました。<季節限定酒>
瑤 春<純米吟醸> 純米吟醸二年古酒です。どっしりした奥行きのあるお酒で、蔵の中で二年 間寝かせることによるまろやかさも併せ持つ、クラシックなお酒です。燗 もお楽しみいただけます。
からから<本醸造> 日本酒度プラス10の超辛口ですが、お米の旨みをしっかり持っていて、辛 さは感じられないと思います。淡麗タイプと違う、白老らしい、味のにぎ わいがある濃醇辛口酒です。
本日のお料理
雨の中、建物の外での設営申し訳ありませんでした。酒蔵の中での飲食は、 衛生管理上出来ないためにどうかご了承下さい。炭火で軽くあぶっていただ くものを中心として組み立てさせていただきました。
一、魚 菜 昆布巻き・鰆の昆布ジメ・・・「しら井」(石川県七尾市)①
サッチェプ・・・「(財)アイヌ民族博物館」 (白老町)③
ふぐの卵巣糠漬・・・「あら与」(石川県白山市) 三年間漬け込むこ とによって猛毒が消えます。①
たまご焼き・・・「デイリーファーム」の生みたてタマゴ④
一、焼 物
干物・・・自家製しろえびの漁師風半日干し 塩水で洗っただけの えびを干したシンプルな干物
アナゴ 当地では「めじろ」と呼ぶおなじみのもの。たまり干し 半田市亀崎名産のくしあさり、青柳、きびら(鮎の稚魚、伊勢湾の初夏の 味)、きのこ、野菜など
一、南蔵商店の豆味噌 貝鍋焼き・・・昔は各家庭にあった貝殻の鍋で、本場 武豊の家庭で食べる料理
一、たけのこのきんぴら ・・・半田の豊田屋さんの手造りソースを用いまし た。ここのソース、最近注目されています。
一、ざる豆腐とホロホロ おとうふ工房石川の特製ざる豆腐、岩手県の郷土料理「ホロホロ」②
一、煮 物 角麩と野菜④
アイポークのひよる冷やしゃぶ 梅ジャムソースかけ
一、酢の物 イグジ(あみたけ)② 三井酢店の純米酢
一、食事 知多市の伝統野菜「茶豆」のおこわ モガニ味噌汁 佐布里梅の 梅干・自家製きゃらぶき
一、デザート 白老梅の梅ゼリー
以上のほかに山文製陶所の移動式石窯の実演(グリーンピザ)、大変好評でした。
*
①「しら井」さんの昆布巻き
「あら与」さんのふぐ卵巣漬
我社の酒造りを担う蔵人さんは、戦前から能登の珠洲市から来て頂いていました。
石川県は酒のつまみの宝庫で何を選ぶか困ってしまいますが、今回は昆布海産物の「しら井」のいしるを用いたにしんの昆布巻きと、奥様お手製の昆布しめです。ここはとても良心的でおいしいので、金沢に行くと必ず寄っています。
また、ふぐの卵巣は猛毒がありますが、糠に三年間つけることで毒が消えてしまいます。先生のお話にも出てくる日本人の知恵といえる珍味中の珍味です。
なお、当社の杜氏は戦前から3代続いて広島の安芸津出身ですが、広島の瀬戸内の産物は驚くほど伊勢湾のものと似ている為、今回は割愛しました。
②ホロホロ(盛岡の郷土料理)
能登の蔵人さんの後、数年前まで、岩手県南部杜氏の皆様に酒造りをお願いしていました。ここもお酒のつまみがおいしいところですが、山の幸と今の季節から、「ホロホロ」をお出しします。ウコギの新芽と大根味噌漬けをくるみと合えたもので、本来は熱いご飯にかけたり、そのまま酒のつまみにします。今回は単独でももちろん、濃厚なうまみのざる豆腐とあわせてみてください。岩手の知人のおかあさんに手造りしてもらいました。
*ざる豆腐は特製国産丸大豆の「お豆腐工房いしかわ」のざる豆腐です。
また「イグジ」はアミタケのことで、秋に採れたきのこを塩漬けにした保存食です。雪国の知恵のこもったしみじみとおいしいきのこです。
③サッチェプ(白老の鮭燻製)
ここは杜氏さんとは関係ありませんが、おなじ「白老」ということで選びました。アイヌには文字がなく、地名の発音シラウォイに漢字を当てたのがたまたま「白老」だったそうです。
アイヌの人たちの自然とのかかわり方は、これからの私たちの生き方に大変参考になるものです。伝統料理は「オハウ」と呼ばれますが、「食べ物はもちろん、すべてのものを自然から恵みとして受け取り、必要な分だけを享受して決して粗末にしない」という考え方に共感します。
サッチェプは鮭の燻製のことで、白老町の前浜で採れた鮭をチセという燻製小屋の中で7ヶ月かけて造られ、ちょうどこの5月から出荷が始まったばかりです。
白老町は登別温泉のそばで、食材王国”といわれるほど海の幸、山の幸に恵まれたところです。一度チェックしてみてください。
お問い合わせは
(社)白老観光協会 0144-82-2216
(財)アイヌ民族博物館
URL:http://www.porotokotan.jp
③デイリーファーム(℡0569-37-0072) 獣医さんの資格を持つ市田さんの鶏卵、non-GMOの特注の飼料をアメリカに発注し、鶏舎も鳥の健康と衛生に配慮した、安心でおいしいタマゴです。
④角麩 この辺の人には珍しくもなんともない角麩、知多の特産なのです。なぜかというと知多市は木綿の産地として大変栄えました。この木綿に使う「ふのり」の副産物として小麦のグルテンが多量にあったことから、角麩が普及したのです。そんな歴史に思いをはせてみてください。なお、にんじんは愛知の伝統野菜「比の山五寸」です。